2020/12/24

配信企画「ゴテンバサノバザール」第1回出演者募集

メリークリスマス!

このたび、noteにて志水あみが書き溜めていた"めのん"のテキストを、リーディング配信形式で発表しようと思います。

さっき決めましたが番組名は「ゴテンバサノバザール」にします。

そこで、朗読という形で出演してくださる方を募集します。


参加の仕方を説明します。

こちらにアップロードされている台本から一本選んでいただき、参加希望の旨を後述の手段でお伝えいただいてから、ご自身で録音してください。第1回の応募〆切は2020年12月31日とします。

②録音した音源ファイルをメール添付やgiga fileなどにアップロードしていただき、後述する①と同じ手段で送ってください。

③送っていただいた音声ファイルをこちらで、アンカーというポッドキャストWEBにアップロードいたします。


以上です。簡単ですね。

それでは、ことのおこりを説明します。


 ふと、自分が書いたテキストを誰かが読む際に自分の指示なく読まれてみたらどうなるのだろうか?という興味が湧きました。

その「ふと」の経緯を申し上げます。

 今から少し前、ひみつのボイス投稿サイトみたいなWEBサイトに足繁くアクセスしていた時期がありました。

そこでは本当にいろいろな人が、短い作品を発表していました。

そんな中で私はひとりのうp主に出逢います。

もちろん仮名ですがたとえばその方の名前を「佐野☆ごてんば娘」としますと、私は佐野☆ごてんば娘さんの作品にイッパツで魅せられ、3年余分のアーカイブをすべて拝聴し、入眠のお供にしていました。

 しかし、私が聴き始めてからほどなくして、佐野☆ごてんば娘さんは投稿をやめてしまいました。

そして遂にSNSで「もう引退します」と宣言したのです。

ひみつボイス投稿サイトは葬式のようなムードに包まれました。コメント欄には佐野☆ごてんば娘さんの引退への労いと惜しむ声が昼夜を問わず寄せられていました。

 私も、ひみつボイス投稿サイトには疎遠になり、時々覗きに行く時も、日暮を好んで参るようになりました。

私は考えました。なぜ私(たち)は魅せられていたのでしょう。

声質?ストーリー?いえ、その正体とはおそらく、佐野☆ごてんば娘さんという全くの他人が、テキストを読むその行為自体に魅力を感じていたのです。佐野☆ごてんば娘さんはそのパイオニアであったのです。

そしてそう考えたとき、佐野☆ごてんば娘さんが作品の中で言っていたこんな言葉が私の中で何度も響きました。

「声に出した方がいいんだよ。声に出すとすごく気持ち良いんだから」


私は映画の脚本以外のテキストにおいては書くことそれ自体を目的とした寝小便のように作ってきました。しかし、佐野☆ごてんば娘さんの上記文言が私の中でもはやハウって聞こえてきて、今回の企画の発起に至ったというわけです。


はじめは、私が応募してくださった方に演出をつけようかなとも思っていたのですが、私も一個体であるというのと、ともかく皆さんが「どのようにテキストを読み解き」、それを「どのように発声するのか」(この2つの作業がつまり演出ということです)ということに強い関心を寄せている現状なので、一旦応募者の方にお任せしようと思っています。とはいえそのうち自分でも演出したい欲がむらむらと湧き出る予感もしていますが。


長くなってしまいました。すいません。

あらためて要項を記載します。


【企画概要】

こちらのページに載っているテキストから出演者に一本選んでいただき、その音源をポッドキャストWEBにてすべて発表する。

・私からの演出はありませんので、ご自由に読んでください。ご自身で編集やSEをつけていただいてもかまいません。


【手順】

こちらへのメールもしくは、TwitterこちらのアカウントへのDMで参加希望の旨をお伝えください。第1回の応募〆切は2020年12月31日とします。

②「ありがとうございます」的な挨拶返信を致しますので、その返信から1ヶ月以内》に、録音を行い、音声ファイルをメール添付やファイル共有サイトURLという形で①と同じくメールもしくはDMにてお送りください。その際、出演者のお名前を明記してください。複数で参加する場合は全ての参加者のお名前をお書きください。

③頂いたファイルを順次WEBサイトにアップロードし、完了次第お知らせいたします。


【注意事項

・作品の著作権は作者である「志水あみ」と出演者様のどちらも有するものと致します。よって、アップロードされた作品をご自身のホームページなどにアップロードする場合は、志水あみによる執筆である旨をお書き添え下さい。

双方ノーギャランティーとなります。それに伴い、テキストを使っての商業公演や音源の販売はお控え下さい。(ただし無償であれば、ご連絡くだされば許可いたします)

テキストの文言の改変、構成の変更は禁止とします。


たくさんのご応募お待ちしております!!!!!!!!!!!!!



2020/12/05

GekidanU家公演『With Home』「転がって若草」

  震える膝で最初に申し上げますと、感想とはつまり、対象を自分がどのように見えたか/どのように思ったか?なので、作者の意図を汲んでいるかどうかは分かりません。
 わざわざこんなことを前置きするのは、作者の木村美月さん、演出のヒガシナオキさんの描きたい(伝えたい)テーマをわたしがどのくらい"読み解いたか"という点にわたしはわたしが心許なく、尚且つ「まぁそんなんどうでもいいと思う、弁論じゃないし」という、創作を鑑賞することそのものへの基本姿勢があるからです。
 
 かなり冒頭から「これはシャレにならんのでは?」と思っていたがいやいやすごすぎる!!!!!!!!!!!!!!!!面白すぎる!!!!!!!!
 記憶力が少なく、文章をまとめる力も少ないので、以下、羅列の形式をとらせていただきます。力不足と根気の無さが情けないです。

・食事当番の若草さんが食事当番を忘れ、やれやれと呆れながら残る三人は「昨日の鍋」にちょい足ししたものを食べるわけだが、わたしはその弛緩した光景を見ながらかなり感動していた。端的だったから。
 彼らは、「望んでない昨日の鍋をやれやれと食べて腹を満たす」というキャラクターなのだ。その、「満たされないものを(無意識的に)甘受してむりやり満たす」という行為が、共同体を示すアクションを超えて、彼らの現状を、環境を、現状と環境の原因たる人間性を表している。ズバリな光景だ。
 
・若草さんを除く三人のうち、さつきとさえはテーブルで食事をするが、ゆうこは立ったままだ。
ゆうこはそうだ。ゆうこはそうだーー!!!と思った。
後ほど言及されるようにゆうこは「やなせ屋」を回しているのだ。そして彼女だけがなにがしかを執筆するのではなく、結婚に代表される「生活」を当面希求している。彼女は書生として脱落しているのだ。皆がそれぞれ食事する中、自分の執筆をする中、ゆうこはポン酢をもらいに行き、食洗をする。つまりあのテーブルは「書生」を表している。だから、若草さんもテーブルにつくものの、彼は食事の途中でたばこを吸いに隔離空間に行ってしまう。そのアクションで「やなせ屋の書生」から別の場所に行く存在であることは象徴されている。そしてあのテーブルで食事を再開しない。
 
・若草さんがしばしば向かう隔離空間というのは、彼があの家の中で異物として存在しまたそのように扱われていることの象徴だけど、それよりも梯子だ!!!!梯子がかかっていることが凄い。言い換えれば、"隔離空間に梯子があってその先に部屋がある"という舞台を物語であのように活かしていることが凄い。若草さんは執筆に際し(おそらくあの梯子の先に若草さんの部屋があるのだろう)、梯子を上る。そして時々、残りの三人のいるエリアに降りてくる。降りる若草さんはいつもおそるおそるである。そのおそるおそるさや、おどおどした態度の袂にあるのが若草さんという人間の残酷性であり、そこに他の三人が気付いているのか気付いていないのか曖昧な感じに描いているというのが作者の残虐性だ。
 
・登場人物たちは時々それぞれの理由で舞台から退室するが、さつきが退室する理由が「洗濯機を見に行く」なのが最高だった。洗濯機とは、機内にて衣類がグルグル回る。さつきってそういう人だろう。
 
・ラストシーン、部屋から出て行く若草さんはあの光さす部屋で最後にたばこを吸う。
彼がたばこを取り出した時、おれは「たばこを吸うかと思いきや吸わないで出て行く」んだと思った。しかして彼はたばこを吸う。あれ?と思ったが、彼は!二度ほど煙を吐き出して去ったのだ。おれはアッ!と感動した。彼が煙を吐き出す姿が、さながら出航する船のように見えたからです。
そのように見えたのです!!!!!!
 
 冒頭にも批判に先んじて書いたとおり、おれは"そのように見えた"ことこそが重要だと思うし、"そのように見える/思える"ことこそが創作の意義とおれはします。
そして、"そのように見える/思える"作品がいったいいくつありましょうかという話です。
感想なんで推敲もしません。なんだか情けなさも苛烈し、ヤケぱちな気持ちになってきました。とにかく、本当に面白いと思いました。