2020/04/13

セブンス・コンチネント

 断捨離映画。

家族が力を合わせて家庭崩壊させる、と文字にしてみれば笑ってしまうが、共同体としての家族に通底する絆の強さというか、人間性なのか、強〜いと思わされる。仲良しなんだな。

ぶっ壊すときにまず機能(=存在の存在たる意味)が失われる、失わせるというのはとても合理的で、シャツのボタンを弾け飛ばせ→切り裂くという描写が最初に置かれるのは、家族の行為が単に破壊ではなく失効を目的としているということがわかりやすい。

終始ブレッソンやんというのは簡単だけど、失効をゴールに据えていると考えると、ブレッソンへのオマージュというよりも手元や顔へのアップによって映画自体が最初から世界の情報よりも個体の「機能」を印象づけたかったのか?と思った。わかんないけどハネケならやりそうじゃないですか。単にブレッソンのマネならすいません。

家族の動機が"絶望"というのはそうだけど、では彼らは失うような何かしらの希望をそもそも持っていたのか。昇進がフイになったから、事故現場を見たから、といって死ぬかね?そういう、なにかが奪われたから、失ったから死ぬというよりもしっくりくることがある。「やがて君になる」という漫画をおれはそれまで知りませんでしたが、アニメ化もされている人気作だそうで、そのコミックス7巻の帯にはたったひと言「いいか、もう。」と書いてある。
やがて君になる」は未だに読んでないが、「いいか、もう。」という文言はとても気に入って覚えている。
それを思ってしっくりきた。
家族は「いいか、もう。」と思ったのではないか。
「絶望」というより作中でも言及される「そうか私は死にたかったのだ」と気づいた時の人生に対するスイートサレンダー感。

いいか、もう。
散らかった部屋を見て断捨離を、実際せんとすときもみんなそんな気持ちじゃないのでしょうか。

 

https://filmarks.com/movies/41908/reviews/85423604


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