2013/05/14

マリオ・ジャコメッリ写真展


東京都写真美術館でやっているマリオ・ジャコメッリの写真展に行った。
ずっと行こう行こうと思っていたら最終日になってしまい慌てて朝イチで恵比寿へ。

初期の写真はドキュメントのようで、解説に「彼は一枚の写真を芸術作品として見せるのではなく、何枚も重ねる事で意味を見いだす作風」とあったが「死がやって来ておまえの目を奪うだろう」などはまさにその通りだった。ホスピスの死を望む人たちの写真群。老夫婦がキスをしている写真があり素敵だった。

「スカンノ」「ルルド」「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」などが個人的には一番好きだった。(おそらく編集の段階で)強いコントラストをかけ写っているもののほとんどを飛ばしてしまう方法で現像されたそれは、写真というより絵に見える。「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」は、走り回る神学徒たちのスカート?姿がとても良かった。真逆であるような気もするが奔放さにハーモニー・コリンの「ガンモ」を思い出した。

「シルヴィアへ」に写っている女性(シルビアなのだろう)の顔のアップがすごく良かった。あんな写真は撮れそうでも撮れない事をなんとなく知ってる。

マリオ・ジャコメッリは生涯のほとんどをセニガッリアで過ごしたらしい。確かにほとんどの写真の撮影地がセニッガリアだった。出たくなくて出なかったのか、よっぽど好きで出なかったのか、わからないが、セニッガリアという街はとてもシンプルな街並みのような印象。住みたいとかは別に思わなかった。

2013/05/01

たった一行の詩をあのひとに褒められたい

豊田道倫さんの散文集「たった一行の詩をあのひとに褒められたい」を買いにタワーレコードへ。本屋スペース・タワーブックスに初めて行ったんだけど、洋書もたくさんあって、花代さんという方の「MAGUMA」「ベルリン」が凄く素敵だった、のだがそれらを買う余裕は無かった。すごく良かったけど。

米原康正さんの「TOKYO AMOUR」が売っていて、すごくビックリしたのだがこれも買うのを見送った。女の子のエッチな写真を眺める気分じゃなかったからで、そういう気分だったら無理してでも買っていたかもしれない。

「エレファント」という海外のおそらく写真雑誌にすごく魅力的な写真があって、男の人が袋を被ってバイオリンを携えていた。セルフポートレートと書いてあったので写真家さん自身の写真なのだろうが、英語があんまり得意でないのでなんという方の写真なのかはわからなかった。


豊田さんの本は散文と詞の本で、「ソウルフード2039」という章がとても面白い。豊田さん自身の、小説未満の小さな記憶とも言うべき文章がご飯とともに記されている。そのほとんどがその時々の恋人との記憶であり、恋愛の関係の記憶でもある。それらは小説やエッセイになる程の強度のない小さな記憶で、だから何か恥ずかしい気持ちになる。

特典の小冊子の中の雨宮まみさんとの対談の中で豊田さんは自分には才能がないとおっしゃっているがとんでもないっすよ勘弁ですよと何度も叫びたくなるほど詞がどれも素敵だった。特典の小冊子に納められている詞は全部未発表らしい。


「貴様の定食」という詞の一部を書きます。


こうこうと光る定食屋に入った
やばくない やばくない 生きること
こうこうと光る君に入った
やばくない やばくない 愛すること