「子供はわかってあげない」読んだ人とはなす。
優しいシーンはお互いぐっときていたけど、
それぞれ別のところがお気に入りだったよう。
わたしは、残す、渡す、繋げる、ところ。
「愛する者が一日で死ぬから人は苦しむ、と、そう人は思っているが、人間の本当の苦しみはそんな軽薄なものじゃない。本当の苦しみは、苦悩もまた永続しない、という事実に気づくことだ。苦悩ですら、意味を奪われている。」
「誰も同じ川に二度と入ることができない」
「万物は流転するのではなく同じように変化する」
ほんとに笑うくらい度々引用してるけど、、つまりずっとこのようなことを考えていて、今後もそうなのでしょうが、色々を経て、
なくなるから、繋げる
というところにひとまず四月頃行き着いた。
これはわたしの中で結構大きな変化だったのだけど、どうやらやっぱり大切らしい。
作品を通して、人と話して、自分の現在地を知る。
11月cm日
ムカデは切っても死なないと聞いたので
YouTubeで「ムカデ」を検索する。
サムネイル画像のおぞましさに結局動画は見なかったのだけど、検索の代償として、おすすにビジュアル強虫が出てくるようになってしまった。
11月m日
10月末から11月にかけての舞台公演の前、
美容室へ行った。
いつもお世話になっている美容師さんがいたのだけど、体調を崩されて、復帰は未定とのこと。
となると、ゆっくり療養していただいて、
こちらは新しく美容室を探さないといけないのだが
俳優をやっていること、
公演に向けてのヘアチェンジであること、
などを初対面の美容師さんに一から説明するのは中々にハードルが高い。
そもそもわたしはこう見えて(どう見えて?)人見知りの気があり、初対面の人と会う時は黙ってしまうのが怖くてエンジンをかけ、ぶん回しすぎてオーバーヒートするか、オーバーヒートするのが怖くて黙り、借りてきた猫ならまだ可愛いものの、たまに小声で突拍子もなく人の言葉のようなものを発するもんだから周りを困惑させることが少なくない。まあ要はこの歳になってもまだ、自我のバランスが取れておらんのです。
そんな状態で、初対面の美容師さんにきちんと説明することができるのか?もう稽古休みはない、失敗は許されない。考えただけでゾッとする。
ひとしきり震えたあと、仲の良い友達が、小学校の同級生に髪を切ってもらっていることを思い出す。聞くと、つい最近も髪を染めてもらったとのこと。
同級生なら初対面じゃないし!
演劇やってることも知ってるし!
いそいそと予約を取る。
久しぶりに会った彼は、一回りも二回りも大きくなっていた。
役の設定やどんなイメージでお願いしたいかを話し衣装写真を見せると、服が寒色系だから髪もそうすると顔色が悪くなってしまう、暖色系で少しだけ明るくしよう、光が当たるとほんのりピンクくらいはどうだろう?とさらりと提案してくれた。今回は床面がピンクなので、馴染むだろう。わたしにはない発想。ありがたい。
施術中の懐かしい思い出話中、
「大学生の頃、一度髪の相談をしてきてくれたことがあったでしょう」
と彼が言った。
そうだった。
その時は初めてのシェイクスピアの前で、
まだ行きつけのなかったわたしは駆け出しの美容師である彼に連絡を取ったのだった。
「あのときはまだ髪が染められなかったんだよ」
ごめんね、今回はちゃんとやれて良かったよ
と言ってくれた。
できあがりは、控えめだけどとてもいい色だった。本番中のヘアチェンジがしやすいように形も整えてもらって、セットの仕方も丁寧に教えてくれた。髪がきれいになって、とてもとても嬉しかった。
あのときまだお客さんの髪を触れなかった彼が、10年を経て、仲間たちと表参道にお店を出して、たくさんの人たちを喜ばせている。
ほんとうに素敵なことだと思った。
わたしにもできるだろうか。
だろうかじゃない、やるんだ、と思えた。
11月km日
わたしは物語ジャンキーPART2。。